ウチのマンションの間取りはひとむかしまえには主流だった田の字型で、リビングの横にはおきまりの和室があった。
パーテーションはふすまで、入居した当初はその和室に布団を敷いて寝ていた。
いつもふすまは閉め切っていたが、リビングのすぐ横に布団が敷かれていることに、なんとなく違和感があった。
そこで10年ほどまえに、畳をフローリングに替え、仕事部屋からデスクを移動させてきて、リビングと一体化させることにした。仕事部屋はベッドを置いて寝室となった。
しかし、フローリングはリビングのものと適当な色合わせしかしなかったし(工務店に同じ色はないといわれた)ふすまの入った押し入れや障子も手をつけていない。天井もクロス張りではなく合板で、リビングよりは20cmほど低い。
リビングを拡張した、というよりは、たんに和室を板の間にしただけのことだ。
ひところはふすまを引き戸にして障子を木製のブラインドに替えようかと思ってみたのだが…。
いまどきのリフォームなら、なにかしらスジの通ったコンセプトのようなものがあって、それに沿って全体のイメージを作っていく感じだが、ウチの場合はあちらこちらをちょこちょことイジるばかり。
全体としてみるとチグハグで、インテリア雑誌から取材の依頼がくることは、凡そないだろう(笑)。
内装がチグハグでも、そのことに目をつぶれば、いまの住居にとくに不満や不便はない。かなり快適に暮らせていると思う。
でも、このごろはオシャレに趣味よく暮らしている人たちの情報が世の中にあふれている。
自分の思い描く理想の住まいは、たぶん、そういったイメージがインプットされて形づくられているのだろう。
だから、ついつい背伸びをして、自分には実現不可能なことなのに、あれこれ考え込んでしまうのだ。年をくってはいるが、じつは薄っぺらい人間なのである。
この和風なテイストのレベルを下げるよい解決策はないものだろうか。
ふすまは15年が経過してかなり汚れやシミが目立ってきているので、とりあえず、これをなんとかしたい。
照明が蛍光灯なのもしっくりこない理由かもしれない。道程は遠いが、妥協点を探る旅は続く。