若いころは、けっこう頻繁に海外に出かけていたが、年をとってからはてっきり出不精になった(19年間、犬を飼っていたのも大きな要因)。
このごろは、なにをするのも面倒になり、家にいたほうが快適じゃないか、といつも思ってしまう。もうすこし積極的に行動を起こさないと、ホントに老け込んでしまうのではなかろうか、と多少は心配している。
いまは、旅先で買い求めたお気に入りのみやげ物を部屋に飾り、ときどきは往時の思い出にひたるのが関の山だ。
廊下にはイタリアのトスカーナのアレッツォという街のギャラリーで手に入れた小さな銅版画(エッチング)を掛けている。
農家の軒先を描いたもので、かなりの細密さだ。プレートマークの下にはGianni Raffaelliという作家の名とエディションがサインしてある。ネットで調べるといまも活躍中の版画家だそうだ。
最初、見たときはエッチングの上から手彩色で色をのせていると思っていたが、どうも緑とオレンジのインクを2版で刷っているようで、そうとう手間がかかっている。
眺めていて、素直に美しいと思えるものだ。
アレッツォはイタリアでも骨董屋の多い街として有名で、たしかに、あちらこちらの店先で古い家具や楽器の修理をしていた。ほかにも古書店で植物や古い道具の絵(たぶんむかしの図鑑をバラしたもの)を買った。
こちらはシンガポールの古布店で手に入れた中国風のポシェット(らしきもの)。
これもかなり手のこんだ唐子や花の刺繍が施されていて、見ていて飽きない。
それなら、いつでも眺めていられるように、と額装することにした。額縁は、刺繍には金糸も使われているから金色が合うのでは、というつれあいの提案に従った。
こちらはメキシコの民芸品店で買った泥人形。
金色に着色された木の台座に、生まれたばかりのキリストらしき赤ん坊と6人の人形が突っ立っている(背中に羽が生えてる人もいる)。
どういう逸話があるのか、宗教にウトいのでわからないが、メキシコとヨーロッパがごちゃ混ぜになった土着感はバッチリ出ている。
メキシコはこういった民芸品の宝庫で、みやげものを探すのに苦労はしなかった。
あるときは警官に誘導されて無理矢理入店させられたみやげもの屋もあったが(警官は店からいくらかもらってるんだろう)そんなところでもそそられるものがいろいろとあるのだ。
ずっと寝室に飾っているが、なんとなく、いつもぐっすり眠れているような気がする。