「西の魔女が死んだ」という本の中で、庭に生えた野イチゴを摘んで自家製のイチゴジャムを作るシーンがある。おじいさんが死んだ翌年のおばあさんの誕生日、おばあさんは裏山一面に実った野イチゴを見つける。それまであまり実らなかった場所に実った、おじいさんの大好きだった野イチゴ。それがまるでおじいさんからの贈り物のように思えて、おばあさんは思わずその場にしゃがみこんでしまった…そんな思い出話をしながら、おばあさんは孫と一緒にイチゴを煮てジャムを作るのだ。
我が家の庭にも毎年草イチゴが実るのだが、それを見ると前述の小説を思い出す。そして、イチゴジャムを作りたくなるのだ。
作り方は簡単。
①イチゴの実を摘み取り、水洗いをしてザルで水気を切っておく。
②鍋にイチゴと、イチゴと同量〜半分(量は好みで。私はあっさり目が好きなのでイチゴの40%程度まで砂糖を減らすこともあるが、減らし過ぎると保存が効きにくくなるので注意)
③弱火で煮詰める。トロリとして艶が出てきたら出来上がり。仕上げにレモン汁を足してもOK。
④出来立ての熱いジャムを、煮沸した瓶に入れ、蓋をして完成。
採れたばかりのイチゴ。
実の中に蟻などの虫が潜んでいることもあるので、注意して洗う。
煮詰めていくと、だんだんと濃厚で甘酸っぱいイチゴの香りがキッチンいっぱいに漂ってくる。
煮沸した熱い瓶に、これまた熱々の出来立てジャムを淵ぎりぎりまで注ぎ、蓋を閉めてひっくり返して冷ます。
より慎重に消毒したい場合は、ジャムで満たした瓶を再び熱湯に入れ(瓶の口からお湯が入らないように注意)さらに煮沸したりもする。
普通のイチゴジャムとは違い、細かい種のツブツブした食感が特徴的だ。自家製のスコーンに添えて食べると、素朴でとても美味しい。
子供達は庭遊びの合間にイチゴをむしり取ってオヤツ代わりに食べたり、鶏達に分けてあげたり。家に遊びに来た友達と一緒にイチゴを採り、その場でジャムにして持ち帰ってもらったことも。5月から6月にかけて、ほんの短い時期だけのお楽しみだ。
ただ、心配なのが今年は昨年ほどイチゴを実らなかったこと。昨年調子にのって取りすぎたのがいけなかったのか。
来年は沢山採れればいいな、と願っているがどうなるかは来年になってみないと分からない。
我が家にとってイチゴは、気まぐれな自然からの贈り物のようだ。