モリエンさんの手帖

イエナカプロ

モリエン さん

モリエンは、神戸市にある、大正8年創業の塗料(ペンキ)を販売する会社です。ペイントの持つ力や楽しさをもっと広く知ってもらいたいをコンセプトに、塗料の種類や色の選択、ペイント作業のサポートなども行っています。

分野:
塗料販売
住所:
神戸市兵庫区荒田町1-4-5
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電話:
078-511-5161
URL:
http://www.morien.com/

REPORT

kanayon.m 特派員によるレポートlast update : 2015.2.15

モリエンの社長さんに会社のこと、塗料のことについて聞いてきました。

リフォーム時に室内の空気感を作る大事な要素でもある塗料について創業大正8年(1919年)という、たいへん歴史のある株式会社モリエンさんにお伺いしてきました。
私がこちらの会社を知ったのは、リフォームの際にリフォーム会社の担当者の方に、きれいな色展開やこだわった塗料を扱われている会社がありますよと教えてもらったのがキッカケでした。モリエンさんでは、『カラーワークス』という事業を展開されていて、ユーザーがペイントについていろいろと知ることのできるサービスが揃っています。室内を自分のイメージでペイントしたいと思う人にとって役立つ情報がある会社だと思い、今回取材をさせていただくことにしました。
平成20年に三代目の社長に就任され、39才とお若いのですが、とても落ち着いた雰囲気。こちらの質問にも、ざっくばらんに本音で、かつシンプルにわかりやすくお話をしてくださいました。

ウェルカムなやさしい笑顔で迎えてくれました。

特派員:『モリエンさんにお伺いしたときに、プロ向けの塗料の販売店『モリエン』と、一般のユーザーさん向けの販売店『カラーワークス』と、プロアマ双方に向けて事業をされていて、めずらしい会社だなと思ったのですが、どうしてこのような形体にされたのでしょうか?』

創業96年ということもあって、年代物の看板がその歴史を物語っています。
写真のようにプロ向けと一般ユーザー向けの店舗があります。
歴史的建造物の修復に使用されている英国Farrow&Ball社の塗料から最新のナノ塗料、リーズナブルな塗料まで、幅広いニーズに対応した塗料を取り扱っています。

森社長:『僕が社長になったころというのは、塗装店さんを通して、塗料を販売していたのですが、ちょうどそのころは、塗装店さんの下請け化が進んでいた時で、塗料の特徴や魅力が直接ユーザーさんに伝わりにくくなってきていると感じていました。そこで『カラーワークス』というユーザー向け事業を行うことで、直接ユーザーさんに、ペイントについてご説明、提案ができると考えたのがひとつです。
あと僕が語学留学で、ホームステイしていた時、そのホームステイ先で、ペイントを手伝う機会があったのですが、その家では夏の時期に毎年塗り替えをやっていて、手伝ってみると私もとても楽しかったんです。「室内をイメージチェンジしたかったら、まず塗り替えよう。」と考える人が多くて、海外では日本よりずっとペイントがとても身近で、もっとカジュアルなものでした。
その時の経験から、日本でも、ペイントする楽しさ、色を選ぶ楽しさ、暮らしの中の色を考える楽しさを知ってほしいという思いもあります。
塗料には、安価なペイントから様々な特徴や性能をもった高級なペイントまで幅広いバリエーションがありますが、一般のユーザーさんがそれを知る機会やペイントに触れる機会があまりにもなくて、ペイントを選ぶことが出来ないでいるとわかった時に、ペイントについて伝えていくことが販売店としての一つの義務だと思いました。『カラーワークス』事業で、ユーザーの方とコミュニケーションを持つことでそれが可能になると思いました。』

特派員:『そうですね、海外はDIY文化の歴史が長くて、そこが日本と違うところで、日本ではまだカジュアルにペイントする感じではないですよね。わたし自身も初めて室内ペイントをするということで、塗料についての知識もまったくなくて、なにをどう選んでいいのかちんぷんかんぷん。気持ち的には、失敗してもいいからチャレンジするという覚悟で臨みました。まったくカジュアルじゃなかったです。』

FARROW&BALL:ナショナルトラストの塗料を手がけており、最高級の天然顔料をふんだんに使用し、伝統的な製法でオリジナルの塗料と壁紙を生産している英国唯一のメーカー。 この塗料の放つ色彩は、光によって変化をもたらす奥深い色を見せてくれます。

森社長:『そうなんですよ。たくさんありすぎてペイントに入り込みにくいですよね。』

特派員:『はい。ただ、そんな初心者のわたしでも『カラーワークス』さんのWEBサイトを見たときに、室内ペイントを一般の人にもわかりやすい形で出されていて、ここで相談しながらだったら、できるかもしれないと思いました。わたしの場合は、まず『カラーワークス』さんから色見本帖の貸し出しをしてもらって、自宅で塗る場所と色決めをすることからスタートしました。塗料の種類は分からないけど、自分が塗りたいカラーはありましたので、そのイメージを固めてから『カラーワークス』さんのお店に伺い、実物の塗料サンプルで塗料の質感や光による色の出方などを確認しながら、塗料の種類を決めていく作業をしていきました。おかげで、とてもスムーズに塗料を決めていくことができましたし、その際のスタッフの方の説明やサポートのホスピタリティーがとても高かったので、楽しく安心して色の相談ができました。』

森社長:『そう言っていただけるととてもうれしいですね。まさにそれが僕のやりたかったことなんですよ。ユーザーの方が、自分で考えたり、悩んだりして、ペイントする楽しさを知ってもらって、ペイント文化が広がってくれたらいいなと思っています。』

特派員:『リフォームで室内ペイントをしてみて思ったのは、ペイントするという経験をしてみることが大切だということです。やってみると1種類でも2種類でも塗料の性質を知る事になるので、これはちがうなとかもっとこういう感じがいいとか。臭いが気になるので天然顔料の塗料を検討してみようとか、今回は予算を低く抑えたいから白の業務用の塗料を使ってみようとか、自分にあった答えが出てきます。そして、この次はどうしようかなとか楽しみが増えます。そういう意味で、こちらには、カラーサンプル帳の貸し出しやペイント体験、室内のカラーコーディネイトのサポート、ペイントを一緒にしてくださるサービスなどがありますので、ユーザーからするとメリットが大きいと感じます。』

森社長:『そうですか。ありがとうございます。いろんなタイプの塗料があるので、ぜひ気軽に相談してもらったり、体験していただきたいですね。』

カラーワークスオリジナルブランドHip:彩度と明度から構成される4つのトーンに分かれています。 欲しいイメージと色を探すのに大変便利で空間のコーディネイトをしやすく展開されています。全1488色という豊富なカラーバリエーション。

森社長:『塗料の種類は、一般の方にはその差が分かりにくいですが、「匂いがなく体にやさしい塗料」を選択肢の一つとしてご提供したいと考えています。確かにそういった塗料は、一般的なホームセンターで売っている塗料に比べると高いですが、それでも一部屋全部に塗っても、2万円ぐらいです。それで部屋の雰囲気が変わるなら、リフォーム全体の費用から見れば安いはずです。』

森社長:『あと少し専門的な話になりますが、塗料は「樹脂」「顔料」「添加剤」「溶剤」を混ぜて出来上がってるんです。「顔料」には、石油などで作る体質顔料と、鉱物などを粉にして作る着色顔料、金属などを同じく粉にして作る機能性顔料があります。あと「溶剤」には水、シンナー、油などがありますが、これらの「溶剤」は乾くときに、ほとんど飛んでなくなります。
それぞれの材料には、特性があります。例えば、エポキシは、緻密に浸透する力が強くて、酸にも強い。ただ紫外線には弱いんです。だからシーラーとかサビ止めによく使います。逆にウレタンは紫外線に強いんです。なので、鉄にまずエポキシを塗って、その上にウレタンで仕上げることをやります。なので、塗料の特性をよく分かって頂いて、購入していただきたいと思っています。
私のところで扱っている商品の一つに、『Farrow&Ball』があります。この塗料は余計なまぜものがなく、「顔料」の割合が他の塗料に比べて2~3倍の量。そして上質のアクリルを使っています。だから部屋の明るさによって、表情や色が変化します。また匂いが少なくて、ローラーで塗った時に跳ねない粘度でちゃんと作ってあるので、自分たちでも塗りやすい。 ただ、全て高い塗料を選んで下さいっていうことではなくて、場所ごとに適切な塗料を選んで欲しいと思っています。例えば、天井はもう少し安い塗料でいい思います。』

特派員:いろいろと工夫ややり方、選び方があるということですよね。わたしは、質感重視でFarrow&Ballの質感がすごくいいなぁと気に入って選んだのですが、あとになって『塗料の成分とは、そもそもいったい何でできているのだろう』とウェブなどで調べて、少しですがわかるようになって、今こうして話を聞いていて、なるほどなぁと納得できるようになってきたところです。
やはり知ると知らないではまったく違うと思いますし、自分でも勉強することで、ペイントがおもしろくなるなと思いました。

森社長:『これからも、多くの方にペイントに触れていただけるようユーザーさんの声を聞きながらわかりやすく応えていきたいと思います。』

特派員:『とてもわかりやすい説明をしていただきありがとうございました。』

プロ向け店舗には、創業当時からの看板がありました。 中には、プロ御用達の道具やハケなどが並んでいました。DIY達人だとこちらの店舗も楽しいと思います。

《取材まとめ》『モリエンさんの会社を図にすると右記のような図が頭に浮かびました。
一方方向ではなく売る側と買う側のやりとりがきちんとあるところにペイントに対する真剣さを感じます。
自分の感性でDIY的なリフォームをしたいと思った時に、ユーザー向けに開かれた場があるというのは、ユーザーにとって知識や経験値を高めることになりますし、その過程の失敗も楽しみながらいろいろトライしていくところに暮らしがあると思いました。

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