【ちいさなおうちの誕生秘話② -玄関~廊下-】
我が家のマンションをリフォームするにあたって、まず最初に行ったのが、廊下にある全ての部屋の扉を引き戸に変えることでした。
我が家の場合、玄関からリビングの間に、幅870㎜の廊下があるのですが、構造上この廊下の両側に合わせて3つの開き戸がありました。それだけ幅の狭い廊下で左右同時に扉を開けた場合、当然扉同士がぶつかってしまうことになりますし、一方だけ開ける場合にしても、扉の開きしろのスペースが必要になってくるわけで、幅の狭い廊下では使い勝手はあまりよくありません。
このような現状を踏まえて、如何に狭い廊下をかっこよく演出するかをテーマにリフォーム案を検討しました。
そこで考えたのが、狭い廊下は敢えて狭さを強調し、
廊下の先にある日当たりのいいリビングへと通じる扉をインパクトのあるものにして、
目線が自然とそちらに移るようなアプローチを制作することでした。
そのために、両側の引き戸をすべて木製にし、床の無垢材と統一感を持たせるとともに、
木の壁のように見えるような引き戸にしました。全ての扉を閉めていると、
木の壁に囲まれた通路のように見えますが、実際その壁自体が稼働して扉となるようなイメージです。
玄関から入って右側の廊下、木の壁のように見えるのが引き戸です。
こちら側には手前のトイレの扉と、奥の洗面室への扉の2枚があります。
扉を開けるとこうなります。
こちらが向かって左側の寝室へ通じる扉です。
そしてこれが引き戸を開けた状態。
あえて壁いっぱいに引き戸を設置することで、
扉っぽさを消し、壁のように見せています。
そして突き当りにあるリビングへと通じる扉は引き戸と同じ木材で造作してもらい、
そこに色つきのデザインガラスをはめ込んでいます。(ここだけが唯一の開き戸です。)
日当たりのいいリビングからの自然光や夜間の室内照明の灯りを
色つきガラスを通して透過させることで、
ステンドグラスのようなイメージの扉に仕上げました。
ガラスの色についてもいくつかの選択肢があったのですが、色が濃すぎても
光が透過しにくいですし、逆に色が薄すぎると部屋の中が見えすぎてしまうので、
ガラスの色と組み合わせについていろいろシミュレーションをしたうえで決定しました。
写真でガラスの様子を見て頂くと分かりますが、今回使用したデザインガラスは模様が入っており、
ドアの外からははっきりと部屋の中の様子は見えないようになっていて、光だけがとおるようになっています。
ドアの全景。
難しかったのはガラスの配置と色の選定。
ガラスの配置(どのようなパターンで扉を抜くか)については、
光が綺麗に入ってくるガラスの面積を確保する一方で
あまりガラスの部分を大きくしすぎると、小さい子供が
万が一割ってしまってけがをすることも考えられるので、
それらを考慮したうえでできるだけ美しく見えるような
パターンを考えるのに頭を悩ませました。
いろいろなパターンを絵に描いていろいろ悩んだ末に、
このデザインに決めました。
夜、リビングからの灯りがステンドグラスのように漏れる様子。
いろいろ試行錯誤した甲斐あってかなりイメージに近いものができました。
マンションという特性上、リノベーションした場合でも
玄関はどうしても味気ないものになってしまいますが、
我が家のこの扉はリビングへと続く扉としてだけでなく、
来て頂いたゲストをお迎えする素敵な玄関扉としての役割も担っています。